新聞を開けば亡くなった方がわかる、信濃毎日新聞「お悔やみ欄」のすごさ。

・信濃毎日新聞のお悔やみ欄から友人の訃報を知る。

先日、母の二人の同級生が相次いで亡くなった。
普段から頻繁に連絡を取り合っていたわけでもないし、ラインもメールもやらない母がその訃報を知ることができたのは、お通夜とお葬式の日時を知ることができるシステムが実家のある長野県に存在するからだ。
もちろん長野県だけに限った事でもないだろうから、他の都道府県にもきっと存在しているはずだけど。

長野県の新聞と言えば「信濃毎日新聞」いわゆる「信毎」(長野県民は愛着を込めて”信毎しんまい)“と呼ぶ)である。
私なんて大学進学で東京に来るまで「信毎」以外の新聞は見たこともなかった。
長野県内の購読率が約50%ということらしいから、独壇場である。

この「信毎」が、「お悔やみ欄」に亡くなった方の氏名や葬儀の日時や場所を掲載してくれる。

・朝刊は「お悔やみ欄から」読む長野県民(高齢母の世代)。

さらに母ぐらいの年齢(80歳)であれば、お悔やみ欄から新聞を読み始める。
母も朝刊を読んでいて二人が亡くなったことに気がついた。

おかげでお通夜や葬儀に駆けつけることができている。
なんでも、葬儀社に掲載を依頼する用紙が用意されていて、記入をすると新聞社に届けられ、掲載してくれるということだ。

もちろん掲載は遺族の希望があればなので、載せていない方も多いと思うが、遺族にしてみれば故人の交友関係を全て把握できるわけはなく、葬儀の準備に追われる中、各方面に連絡することも容易ではない。
信毎」に載れば県民の半分が目にするわけだから、購読率50%として、残りの半分は読んだ人から知らせが行って、ほとんど全ての知り合いに伝えることが可能。

SNSという手段やスピードはないが、翌日には母や県民の元に情報が届く。しかも信頼度100%だからね。

そういえば私の父が亡くなった時も、「信毎」に載せたな。

・私が10代の頃は「高校入試合格者一覧」も掲載していた。

昭和の頃、私が子供だった頃は、毎年3月の高校入試合格発表翌日の信毎朝刊に、全員の名前が高校別に掲載されたものだ。

それどころかテレビでも合格者が延々と流されていたもんね。個人情報という言葉さえなかった時代である。今では想像もつかないだろうけれど。もちろん事前に掲載の許諾を取るなんてない。
しかし私なんか新聞とテレビに自分の名前を見つけて、ニヤニヤしていたものである。
誰がどこの高校を受けるかは大抵ご近所親戚も知っているから、こちらから連絡しなくてもいい。
友達の合否もこれらでわかる。

さらに、大学の合格者も新聞に掲載されていた。全ての大学についてではなさそうで、さらにその情報源は謎だが、違う高校に行った友達がどの大学に合格したのかが、たまにわかってしまう。
ひえー、◯◯くん、東大だあ。優秀だったもんなあ。とかができたのである。

今では絶対にやってはいけない個人情報の盛大な漏えいだが、当時はなんとも思っていなかったんだよねえ。
むしろ普段載ることのないテレビや新聞に自分の名前を見つけて喜んだりしていた位。
良し悪しは別として、懐かしいわね。

ということで、「信毎」っていいよなあ。