・どうしても気になる。カエルはなぜ合唱(輪唱)するのか。
梅雨に入り雨が続き、カエルが活躍する季節になった。毎晩布団に入り、さて、寝ようと部屋の電気を消せば、カエルの鳴き声が聞こえてくる。
田んぼのカエルや虫の鳴き声がうるさいと怒る人がいるらしいが、私にはカエルの鳴き声も夏の終わりから聞こえてくる虫の音も、とても耳心地がよい。
カエルはリズミカルに、一定の間隔で鳴いている。いつもなら鳴き声を聞いているとトロトロしてきて寝てしまうのだが、昨晩はなかなか寝付けず、羊を数える代わりに何回ゲゲゲと鳴くのか数えていた。
何度も何度も数えていたら気になっていても立ってもいられなくなり、紙とペンを出して暗闇でカエルの鳴き声統計を取り始めてしまった。もう寝るのに・・・。
何回鳴くか。鳴きやんでから次に鳴き始めるまでの間隔は何秒か。何匹鳴いているのか。
だいたい一度の鳴きは30回から60回。
鳴きやんでから次に鳴き始めるまで、30秒位だったり、1分位だったり4分30秒位の時も。あまり規則性はない。
不思議なんだよね。鳴くときは一斉に鳴いて、止むときは一斉にパタ、と鳴き止む。そしてしばらくしてまた一斉に鳴き出す。タイミングはどう合わせているのか?
ちなみに鳴き声は「ゲゲゲゲゲゲ・・・」。大きく聞こえる「ゲ」と「小さく(遠くから?)聞こえる「ゲ」。
このカエルはなにガエルなの?鳴く理由は?
ウトウトしながら鳴き声をカウントしていたら、いつの間にか鳴き声が止んでいることに気がついた。時計をみたら午前3時。それから朝布団から出るまで1度も鳴き声は聞こえてこなかった。
3時に店じまいかねぇ。
・カエル␣鳴き声。
現代社会は大抵のことはネットで調べるとわかる。ネット上に溢れる情報の利便性と信頼性、正確性、誤情報、偽情報を認識し、適切に選択するならこんなに便利なものはない。
という事で翌日「カエル␣鳴き声 」とタブレットに入力すれば、出てくる出てくる。カエルの鳴き声が何種類も投稿されている。
聞こえてくる本物の鳴き声とYouTubeの鳴き声を聞き比べたら、わけなく種類を特定することができた。
これは「ニホンアマガエル」。体長は2.5~4㎝ほど。鳴くのはオス。鳴く理由は、パートナーを見つけるため。
・それからそれから、と深掘りしていったら、学術論文に到達。
カエルの世界は深い。鳴き声に関する学術研究が存在している位だもの。私は「エビデンス(根拠)好き」なので飛びついちゃった。
論文によると、ニホンアマガエルは、
0.3秒間に1回程度の周期で鳴き(つまり1秒に約3回)、近くのオス同士がタイミングをずらして自分の鳴き声が近くのオスの鳴き声と被らないようにして鳴く。
自分の存在をメスに効率よくアピールするらしい。
音が被るとメスが「えっ?どっちが鳴いたの?」となってしまうからね。
だから私からより遠くにいるカエルの声が小さく聞こえて「ゲゲゲゲゲゲ・・・」と聞こえるわけだ。
ちなみに種類によりこの周期は違うそうで、ツチガエルだと0.7秒に1回程度、ウシガエルだと1秒に1回程度。
出典:合原一究, 「カエルの合唱とその機能に関する研究」,バイオメカニズム学会誌 (285-0885 ),Vol.43 No.3 ,2019.08.01 ,page.167-172
さらに。
ITmediaによると、鳴くタイミングはずらすが、お互いに鳴いている時間帯は揃え、休むときは一斉に休む。
鳴くためには非常に体力を消耗するため、休憩している時間の方が鳴いている時間よりも長い。
体力を回復させて再び鳴く、を繰り返し、長時間合唱を続けているらしい。
これが私が聴き取った
「鳴くときは一斉に鳴いて、止むときは一斉にパタ、と鳴き止む。そしてしばらくしてまた一斉に鳴き出す」なのか。
出典:ITmedia NEWS『「すごすぎる」「発想の勝利」 カエルの合唱の“法則性”、通信の効率化に応用 研究者に聞く』(2019年01月15日)
(参照2023年6月14日)
合唱を止めるのはどっちで再開するのはどっちなのだろうか。せ〜の、じゃないし。そこには何らかのコミュニケーションがあるのだろうなぁ。
ところで仕事中の休憩時間に「印刷しておいたカエルに関する論文」の気になった部分を「たまたま」緑色の蛍光ペンで線を引きながら「面白い面白い」と読んでいたら、
「オカユさんはカエルが好きなんですね。はい。これあげます。」と後輩からカエル色?(緑色)の付箋をもらってしまった。
私はカエルが好きな人になってしまっていたようだ。
確認したエビデンスに至極満足して、ガンバレ~、と応援しながら今夜も布団でカエルの合唱を聴いている。