中世からジェンダー平等だった信州(長野県)善光寺の「お朝事」に参列

宿坊【薬王院】に宿泊し、善光寺の朝の法要「お朝事」に参列する

「宿坊に泊まってみたい」という娘の希望で、9月下旬、私の母、私、娘の3人で、信州(長野)の国宝善光寺の宿坊に宿泊した。

私は元長野県民、母は今も長野県民。善光寺は常に身近な存在だが宿坊に泊まったことはない。
母に会いに行く恒例の帰省は、娘の希望で一泊2泊の宿坊体験になった。

宿坊「薬王院」

薬王院は善光寺山門のほど近くにあり、1000年以上の歴史がある由緒ある宿坊ということだ。

トイレ、洗面所は共同。お風呂は30分単位の時間制。24時間使えるシャワーもある。初めて知った「畳風呂(洗い場が畳敷き)」は恐る恐るだったが、小ざっぱりしていて気持ちが良かった。

宿坊に泊まると、専属の案内人が善光寺で毎朝の法要である「お朝事」に案内してくれる。
早朝のため21時消灯の決まり。私たちも早々に眠りについた。

薬王院の案内人と、日の出とともに始まる善光寺の朝の法要「お朝事」へ

お朝事とは、365日毎朝欠かすことなく続き、善光寺全ての僧侶が出仕して勤める法要のこと。参拝者も参列できる。
この日は薬王院に宿泊した人のうち希望した約20人が、5:30に院を出発。
晴天で秋のひんやりした気持ちの良い空気を吸いながら、ゆっくりと本堂へ向かった。
81歳の母も遅れることなくついていける散歩のような雰囲気の中、寺の歴史や宿坊の成り立ちなどを薬王院の専属案内人による話を聞きながら進んでいく。5分程で本堂に到着。

善光寺は中世からジェンダー平等

案内人の説明はとてもわかりやすくて、たくさん勉強になった。元長野県民でも知らない事が多かったよ。

女人禁制の寺院が多かった時代から、女性を受け入れてきた善光寺

説明の中で特に心に残ったのは、善光寺が古くから女性を受け入れていたお寺だったということ。

善光寺は「宗教、宗派、性別、身分を問わず、念仏を唱えて祈る者は誰であっても極楽浄土に導いてくださる」寺院。
昔、多くの寺が女人禁制であった中、女性の参拝が許されていたという。
江戸時代は
「男は伊勢参り、女は善光寺参り」
と言われていたそうで、それほど女性の参拝者が多かったという。
八百屋お七や吉原遊女の供養塔もある。

さすが私の?善光寺だ。

天台宗と浄土宗が管理、運営している

善光寺は無宗派の寺院だが、寺院内にある天台宗と浄土宗の2つの宗派が管理、運営をしている。

宿坊の始まり

元々、お朝事に参列する人々は本堂に集まり朝を迎えていたが、人が増えすぎたため、僧侶たちが住まいの坊に参拝者を連れ帰ったことが宿坊の始まり。
出身地域が書かれた看板がある宿坊に行くと、食事と休むところが提供されたそうだ。
もちろん予約なしで受け入れてもらえた。

ちなみに宿坊は天台宗の宿坊を「院」といい、浄土宗の宿坊を「坊」という。私達が泊まった薬王院は天台宗の宿坊ということだ。

お朝事

お朝事は日の出の1時間後に始まる

お朝事の時間は、季節によって異なる。本堂が日の出に合わせて開き、その1時間後にお朝事が始まる。9月下旬の今回は6:00から。
本堂が鳴らす鐘の音に天台宗大勧進が太鼓で応え、住職である御貫主様が赤い大きな傘をかざされ大勧進から本堂に向かわれる。

お数珠頂戴

参道でひざまずいて手を合わせていると、本堂に行く途中の御貫主様が、手に持つ数珠で私達の頭に触れ功徳を授けてくださる。

法要

お朝事は天台宗、浄土宗の純でそれぞれの宗派の法要が1回ずつ行われる。
普段は閉まっている御本尊前の戸帳が法要中に上げられ、御本尊である一光三尊阿弥陀如来像が納められた瑠璃壇と厨子が現れる。荘厳な空気の中、全僧侶による読経が響きその迫力は圧巻だ。
最後に「南無阿弥陀仏」と十回唱えるのにあわせて私達も「南無阿弥陀仏」と唱える。

お朝事が終わり、再びお数珠を頂戴する

法要が終了し、再び本堂を出たところで待っていると、今度は後半の法要を行った浄土宗大本願の御上人(おしょうにん)様が大本願へ戻られる際、ひざまずく私達参拝者の頭へ手にされた数珠で触れ、功徳を授けてくださった。

薬王院へ戻り、朝食をいただく

5:30に薬王院を出発して2時間程でお朝事が終了

心地よい時間だったなあ。あっという間だった。

戻ってから薬王院の朝食「朝がゆと12品目の精進料理」をいただき、チェックアウトの時間になった。
余談だが、私も娘もお寺だし宿坊だし現金で支払うものと思っていたが、ふたを開けてみればクレジット決済もペイペイも対応していた。

フロントがない「呼び出し」システムがかわいい

フロントがないため、玄関付近で「すみませーん」と声を上げるとどこからか職員の方が現れるというほのぼのとしたシステム。

最後に部屋の鍵を返そうとした時は、何度呼んでも掃除か何かで出払っていてなかなか会えず、あちこちの障子を私達が開けたり覗いたりしながら職員さんを探すという、なんとものんびりとしたチェックアウトになった。
でもなんかよかった。

(参考)
善光寺
 https://www.zenkoji.jp/
信州善光寺 薬王院
 https://yakuoin.jp/
(参照2023年9月30日)