歯医者さんは怖いことを言っていた。認知症や病気で口の中のケアができなくなる日が来る。

・半年に一度の歯科定期健診。今回も口の中は100点。

半年に一度の歯の定期健診に行ってきた。
20年近くお世話になっている歯医者さんだ。
付き合いが長いし、先生は私の口の中をよくご存じだし、友人とまではいかないが、結構打ち解けている先生である。
次に予約の患者さんがいないと健診が終わっても二人でベラベラおしゃべりをすることもよくある。
初診の頃ってまだ30代だったんだあ。と思いながら呼ばれて診察室に入ると、

先生
先生

あらあ、オカユさん、相変わらず若々しいですね~。

わたし
わたし

いやいや先生こそ、いつもお変わりなくお肌がつるつるですね。

先生
先生

あらぁ。そんなことないですよ。オカユさんこそ年齢の割にはお若くて~。

の繰り返しを何度かしていたら、脇にいた歯科助手さんの冷・笑が見え、
不毛な会話と気が付きお互い溜息をつきながら健診開始となった。

・今はちゃんとお手入れができているけれど、認知症や病気で口の中の状態が悪くなる人が増えているそうだ。

「相変わらずキレイな歯と歯茎ですよ。100点満点。」

私は若い頃は忙しさにかまけて、というかそんなに歯に重点を置いていなかったので虫歯の治療の跡だらけなんだけど、
入れ歯になっていく周囲の年配者を見るにつけ、なんとか入れ歯暮らしは避けたいものだ、と思ったのと、
80歳で自分の歯20本が理想、20本あればおいしいものをおいしくいただける、というのを知ってから、
一生懸命歯磨きをするようになった。

いつまでもおいしいものを食べ続けるための元気な歯は、日々の手入れから。
20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。

→日本歯科医師会「8020運動」

おかげで加齢で歯茎は下がってきて来ているけれど、歯茎も歯もキレイ。歯石も歯垢もなし。100点。
「オカユさん、この状態が保たれればずーっと自分の歯でいけますよ。」と毎回褒めてもらえる。

ところが今回は、
「それがね~、オカユさん、わからないものなんですよ。明日の事なんて」と先生は話し始めた。
「最近ね、長年通ってきてくれている患者さんで、いままでず~っとオカユさんみたいに歯がキレイだった人が、認知症になって歯のケアができなくなって、口の中の状態が悪くなってしまったり、
脳内出血で手足が不自由になり、ケアができなくなってしまった人とかがいてね・・・・。
今こんなにオカユさんのお口の中はキレイなのに、明日倒れてしまったら、どうなるかわからないじゃないですか。
怖いなあ、って最近思うのですよ。」

若かった頃は認知症も他の病気のことも自分のこととして考えてこなかったけれど、
先生も私にそういう話をするようになったってことは、そういう年齢になってきたってことだよなぁ。
しみじみだわ。

冒頭の「年齢の割にお若くて~」の会話が無性にむなしいが、まあ、それでもそんな日がもし来てしまうとしても、来てほしくないけど、それまでは自分の歯でおいしいものをたくさん食べらるようにせっせと歯磨きをしようと思うのである。