フォーレのドリー組曲他。この二人は鳴らす。 反田恭平&務川慧悟2台ピアノツアー2023。

・小さなホールでも大きなホールでも、この二人は鳴らすなあ。といつも思う。

反田氏の音は自由で活発。おおらかで柔らかい。客席でもドキッとするような強音すら柔らかくしなやかに聴こえる。

務川氏の音はシャープで脳と心臓に切り込んでくる。静謐な響きと小粋で精密で繊細な音。深い務川ワールドに引き込まれる。

二人の音は全く違うが、一緒に奏でる音は最高に洗練されてスケールが大きい。つまり、
♬自由+活発+おおらか+柔らかい+しなやか+シャープ+静謐+小粋+精密+繊細な音♬
これらが音となってステージから届くわけ。ワハハ。それってどんな音だい?

私が前回この二人の2台ピアノを聞いたのは2019年。その後務川氏はロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール第3位。反田氏はショパン国際ピアノコンクール第2位。キャリアを積み重ねて、素人が言うのも何だが、さらにスケールアップした深い演奏を聴かせてもらったと思っている。

・今回うわうわうわ、これは素敵。と思ったのは連弾で弾くフォーレのドリー組曲。

スケールの大きさ、迫力が持ち味の二人だが、今回は家庭的な雰囲気のこの曲がとりわけよかったなあ。

ドリー組曲は、フォーレと親交のあったバルダック家に生まれたエレーヌのために毎年贈った、という全部で6曲からなる組曲だ。
連弾は当時サロンや家庭で弾かれることが多かったということなので、
ああそうか、だから1音目から暖かく親し気な、懐かしい音という感覚を味わったのかしらね。ピアノを囲んで聴いているような。

務川氏はずーっと嬉しそうに楽しそうにニコニコニコニコ弾いていた。
何でかなあ。音遊びが楽しくて〜、ということかなあ。

もちろん大迫力のパガニーニ、ペトルーシュカ、背筋が伸びる美しいブラームス。
全4曲共に違う色の音を聞かせてもらった。
アンコールは彼らの十八番。務川氏はラヴェル、反田氏はショパン。

・演奏終了後にクラシックコンサートらしからぬ軽妙なトークも展開。

二人ともトークが上手で、今回はプラグラム終了の後にさっきまでの鬼気迫る演奏はどこへいってしまったのか、なんだか漫才みたいな爆笑トークで会場を沸かせた。
演奏とのギャップがね。切り替えが上手なのですねぇ。

コロナ前以来、三年ぶりのサイン会もコンサート終了後に行われて、ようやくコロナ禍から次に進めたという気持ちにもなった。

務川氏は11月にもこのホールで演奏するそうだから、また聴きに来ようか🎵
再来週は務川慧悟&藤田真央による2台ピアノのコンサートを聴きに行く。
こちらもとんでもなく贅沢な組み合わせ。チケット取れてよかった。
今度はどんな相乗効果が生まれるか。

<反田恭平&務川慧悟2台ピアノツアー2023>
プログラム
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b
ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲
フォーレ:ドリー組曲(連弾)
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章

2023年2月4日(土)コピスみよし(三芳町文化会館)にて