テレビ局のテロップを書く人から「いただく」の使い方を学んでいる。

「いただく」が気になってしょうがない。

テレビを見ていて

「◯◯させていただきました」「◯◯していただきたい」
というフレーズが多発されているのを耳にすると、
気になって気になってしょうがない。
私にはやたらとこの「していただく」「させていただく」が聞こえてくる。
私だけ?

先日も「いただく」がたくさん使われちゃっているコメント、
「皆さんに助けていただいているおかげで、このお仕事をさせていただいています。
これからも満足していただけるように努力させていただきたいと思います。」
を聞いて、ハラハラオロオロしていた。

ところがテレビのテロップは素晴らしくて、
街頭インタビューや、取り上げた話題に登場した人たちのコメントで
「?」と思われる部分を修正し、おそらく「正しい」日本語となって表示してくれる。
(と信じている)

例えば、
「ゆっくり休んでいただけたら」→「ゆっくり休んでほしい」となり、
「収入が少ない人のことを考えて、施策を打っていただきたい」→「施策を打ってほしい」と修正されて
テロップが表示される。
思わず「ホッ」としてしまう。

・今日の「いただく」多用の修正はお見事だった。

今日は

「〇〇について、キチンと説明していただきたい。そして謝罪していただきたい。」の
ダブル「いただく」コメントに

「〇〇について、きちんと説明していただきたい。そして謝罪してほしい。」

というテロップが付いた。
最初の「いただきたい」はそのまま、
後の方は「ほしい」になっている。
これは?この区別はどのように?

考察考察。

①「いただきます」の多用を避けるため。
②「していただく」はへりくだった表現なので、謙虚な態度でいたい時に使う。つまり、
「お願いしている」というニュアンス。
「謝罪」を謙虚な態度でお願いして求めるのはだから。

ってあたりかなぁ。
正解はテレビ局に問い合わせないといけないので、あくまで私見だけれど、
テレビ局のテロップ担当の人は優秀だよねぇ。

「させていただく」の使い方。

さらにテロップさんは、別のニュースで
「このエリアにシートをかけさせていただいています」を「かけています」と
直して表示していた。

文化庁の敬語の指針によれば、

「させていただく」といった敬語の形式は、『基本的には,自分側が行うことを、
・相手側又は第三者の許可を受けて行い、
・そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。

出典:文化庁「敬語の指針」

つまり、相手の許可が必要な場合に使うということ。
とすると、エリアを自分の意思でシートで覆っているならば、
相手の許可が必要ないので、「させていただく」は不要。

よくある例として、
休暇を取っている同僚の事を社外の人に説明する時の伝え方。
「〇〇は本日おやすみさせていただいております。」
という表現を使いがちなんだけれど、
同僚が休むことは電話をかけてきた人の許可は必要ないので、
この場合は「本日は休んでおります。」と言えばいい。

・なぜ私達はこの「いただく」を多用してしまうのか。

失礼にならないように「『いただく』を使っておけば、ま、失礼ではないかな」

と思うため、だと私は思っている。
日本語って目上だ・目下だ、と人に合わせて
同じ言葉も使い分けるようにできているじゃない。
この時は尊敬語、この時は謙譲語、この時は丁寧語を
日頃のやり取りの中で瞬時に判断して使い分けるのを省略するため。


でも多用、つまり連発すると、へりくだりすぎて逆にくどくて謙虚に聞こえないよって
違和感を覚えちゃうんだけどな。

しかし、相変わらずなんでも悟ってしまう息子は

息子
息子

言葉は生き物だからね、そのうち「いただく」の誤用も誤用じゃなくなるんじゃない。

全て『諸行無常』よ。

ま、そうかもね。
そういう私の日本語も怪しいもんだからなぁ。