同性パートナーに財産を残すとしたら

・同性のパートナーに財産を残す方法の話ではなく、なんでそんなに手続きが無情なのという話。

娘は同性のパートナーと暮らしている。
同性婚は法律上の婚姻関係にはなれないので、
制度が変わらない限り国の制度や民間のサービスで恩恵を受けることはほぼない。

「👆なんだかなあ」と思うのだが、
私は新聞を読むことが好きなので、参考になることがあればと、
法律上の婚姻(以下、法律婚)、事実婚、同性婚、それからLGBTに関する記事があると、
よく読むようにしている。

で、今回は、「事実婚」について国や民間のサービスを取り上げた記事を読んでいて、
じゃあ同性婚カップルが相手に財産を残すとしたら?を今度は自分で調べて、
その結末がなんとも露骨というかなんというか、
すっきりとはいかない事がわかって
しょんぼりしているお話。

事実婚:法律婚と比べて「税金、相続面」は不利。

事実婚法律婚に比べて不利な点が多いと思っていたが、
国の制度で利用できるものも多かった。
例えば

健康保険は条件を満たせば被扶養者になれ、
遺族年金も受け取れる。
第3号被保険者にもなれる。

民間のサービスも、
例えば生命保険や自動車保険は受取人として認められるし、
住宅ローンも使えるということだ。

一方で税と相続となると話は別。

所得税を軽減する配偶者控除や配偶者特別控除は認められない。
相続においてはパートナーの法定相続人にはなれず、遺留分もない。

そのため、パートナーに財産を残そうとするなら遺言書や生命保険を使うしかない。
ただし生命保険を受け取れても法律婚では認められている相続税の優遇制度は使えない。

親子関係も認知をしないと法的な親子関係として認められず、相続人になれない。

ここまでが事実婚について、今回学んだことなんだけどね。

出典:マネーの学び「事実婚、税・相続で不利に」.日本経済新聞. 2022-10-22 ,p.19

同性婚:事実婚では対象になることも同性婚だとほとんど不可能

同性婚となると国の制度の恩恵を受けられることは現時点では「ない」。
同性パートナーに財産を残すとしたら、
事実婚と同様、遺言を残すことや生命保険に加入することが今の現実。

今の国の制度内での公的社会保障は望めない。
遺族年金も相続も受け取れない。
預貯金は親族に相続の権利がある。
せめて生命保険があれば、しかない。今は。

最近では同性パートナーを受取人にできる生命保険が増えてきたが、
それだって、事情婚同様、
税制上の優遇措置である年末調整や
確定申告の時の生命保険料控除は受けられないし、
全額が相続税の対象だ。

生命保険の受取人になれるけれど、「自分たちが何者なのか」を証明して歩かなくてはならないんだよ。

ここ。これ。これがなんとも無情だよ。

受取人になるには同居の事実を証明する必要がある。
例えば「住民票」や自治体で設けている「パートナーシップ証明書」を活用できる保険会社もある。
それ以外にも同居期間を確認するとか、誓約書を提出するとかいろいろあるそうなのだがね、

住民票は簡単に「同居」とはいかないのだよ。

住民票ではどちらかが「世帯主」、どちらかが「同居人」として届けることで、
同居している、ということ証明できる。
でも、
周囲にカミングアウトをしていない、できない、職場等には話せない場合には
この形での届け出は不可能。

例えば勤めている会社への申告や、何かの手続きで住民票を提出する必要がある場合、
同居の事実を明らかにできない場合だってある。
それぞれが世帯主という形で登録をしておく方が影響がない。

ということで、
それぞれが世帯主として住民登録するのが現実的だそうだ。

間違ったことをしていないのなら堂々としていればいい、
といえるほど世間は単純ではない。

だから結局生命保険だって簡単にパートナーを受取人にします。とは行かないのよ。

それに加えて

そもそもプライベートを話す必要あるのか?と思うけどね。

だって、カミングアウトは義務ではないでしょ。

異性と付き合ってます、異性と法律婚です、異性と再婚です、異性と同棲しています、って
「異性」ということをわざわざカミングアウトする?

うまくいかない。
国の制度はまだまだだしなあ。