日本に住んでいない外国人は、日本で家を買うことはできるのか

日本が大好きなマレーシア人の友人が来日。目的は「日本で”古民家”を買う」

日本が大好きなマレーシア人の友人が、5月に遊びに来たばかりなのに、再び11月末に来日した。今回の目的は

オカユ~!日本に家を買うことにした~。だから家を見に行くよっ。

である。

私の最初のリアクションはもちろん
「はい~?」だ。
彼女は高校生の時、交換留学生として私の実家にホームステイし、私と同じ高校に1年間通っていた。もう40年の付き合いである。
留学が終わっても、両親、姉妹、友人を連れて、何度も何度も遊びに来てくれる。日本で働いていた事もある。

「友達と話していて日本で暮らそうという話になった」と連絡してきたのが4カ月ほど前。
どこに?どんな家を?仕事は?誰と?一人で????の私に対して、とにかく楽観的な彼女は
「妹とぉ、友達とぉ、友達の子ども達ぉ、一緒に住む~」
私の友人とその妹と、彼女達の友人とその子供達とで移住しようと思い立ったようだ。

「”アキヤ”(空家)か”コミンカ”(古民家)を買って、オーガニックのカフェをやって、小さい畑でオーガニックの野菜を育てて、外国人観光客も泊まれるゲストハウスをやりたい」

さらに、
「空港からのアクセスが良くて、観光地が近くて、子ども達が家から学校や大学に通えるところ~」

私なんて、話を聞いただけで
「そんな都合の良い条件の物件があるの?どうやって探すの?法的な手続きは?どこかの不動産会社をあたっているの?友達って?子供達の学校って?子供たちは日本語ができないのよね。ていうか日本語話せるのあなただけよね。それで仕事は?収入は?ビザは?」
と怒涛のような心配事で頭がいっぱいになってしまったのに。

「仕事も見つけるけどぉ、とりあえずアキヤ(空家)かコミンカ(古民家)を買う。」
「京都がいいんだけど、京都は高いから、奈良とか滋賀とか。あ、あと金沢、高山も好き!山梨はどうかな?栃木もいいかも。」
どこまでも楽しそうだが、なんとなく行き当たりばったりの気配。不安。

とりあえず、家を借りて、仕事をみつけて、コネクションを作って、ゆっくり探したら?と言ってはみたが、
「う〜ん。今円安でしょ?今がチャンスなの。それに、こうしている間にも少しずつ値段が上がっているのよ。だから一年以内に買いたい。」

あれこれ考えずまず行動する彼女。こういう時いつも羨ましくなる。南国体質なのか。行き当たりばったりの性格なのか、そもそものキャラクターなのか。

「つて」も「コネ」もない私は、日本の古民家のサイト等を見てみたものの、手続きとか色々あるし、ビザにしろ仕事にしろクリアする課題も多い。簡単にはいかない感じ。
きっと外国人向けの不動産エージェントかなんかとコンタクトをとっているだろう。
専門家とやり取りしたほうがいいし、ある程度住みたい家のあたりはつけている、って言うし、と何もしないでいた。
そうして、住みたい人総勢5人で張り切って関西空港に降り立ったのである。

ところが、10日間の滞在中、家は一件も見に行かなかったのだ。

なぜ?不動産会社とか、案内する日本のエージェントとかと一緒ではなかったの?と聞くと、実は何のつてもなく、ネットで見つけた家を自分達で見に行こうとしていたと言うではないか。

現地の不動産屋さんに行き聞いて回ったが、不動産屋さんは彼女たちに対して、あまり熱心ではなかったとのこと。
・・・いきなり地元の不動産屋さんに行ったのか。そんな行き当たりばったりだったとは・・・。いや、やっぱり行き当たりばったりだったか。そんな気がしていなかったわけではない。
あ〜もうちょっとしっかり話を聞けばよかった。今回私は仕事があるため同行しなかったのだが、もう少し面倒を見た方がよかったのか・・・。

しかし切り替えは笑っちゃうほど早かった。
早々に家探しは諦め、金沢にお寿司を食べに行き(それも”一見さんお断り”の予約の取れないお寿司屋さんに行ったそうだ。どうやって?)、岐阜の高山に行き、居酒屋に行き、大阪で美味しいものを食べまくり、紅葉を愛でて、あちこち観光して関西空港から帰っていった。
結局観光・・・。

「法的手続きも複雑なのね!やっぱり日本に詳しいエージェントを通さないとうまくいかないみたい。でも寿司はおいしかった!」と言って帰国していった。

そして「日本人のハズバンド(結婚相手)もほしいな~。オカユ、見つけて~。」と言う。「空き家バンク」とか「古民家バンク」は知っているけどね、「”ハズバンドバンク”~?」まさかね~。二人で大笑いしちゃった。

どうなる彼女の家探し。